竹炭・養鶏 旅をする木
小野寺 睦・亜希さん
「田舎暮らし」は 人も自然もあったかくて、毎日「ありがたい」の連続です
「昨日、鶏舎の棟上だったんですよ。家族4人でほそぼそもちまきでも・・・と考えていたんですけど、大雨にも関わらず、村の人が大勢お祝いに駆けつけてくださったんです。急遽おもちを追加して、ちょっとしたお祭りになりました。村の人たちと酒を酌み交わしたり、助け合ったり、笑ったり、本来の人間らしい暮らしができることって、実はものすごく贅沢な生き方なんじゃないかって思います」
東京生まれ・東京育ちの小野寺さんは、大学を卒業後、大手広告代理店に就職。残業は当たり前、仕事一筋の忙しい日々を過ごしていた。同じ会社で働いていた亜希さんと知り合い、結婚。 28歳の時、転勤で本社から九州支社のある福岡へ越してきた。その翌年に、亜希さんが三瀬村で行われた田植え交流会に参加したのが三瀬村との出会いだった。
「田植えを体験し、地元の人と触れ合っていると地に足の着いた暮らしっていいなぁと実感しました。秋には主人も一緒に稲刈りに参加して、その後も度々農作業の手伝いに足を運んでいるうち、『こんな所に住めたらいいね』って話していたら、村の人が『空き家があるよ』と今の家を紹介してくださったんです。築100年の古民家で、多少修復が必要だったんですけど、二人とも一目で気に入りました」と亜希さん。
三瀬村に移り住んだのは、今から5年前の1999年。福岡の会社へは、軽トラで通っていたという。「九州支社に勤務して5年が過ぎた頃、東京へ戻るように辞令がでたのですが、丁度、竹炭と出会い、新しい暮らしを選びました。親も周りも猛反対でしたね。脱サラしたことによく『勇気があるね』とかいわれるけど、自分の中ではごく自然な流れだったんです。ちょうどそのころ妻の妊娠も分かり、ここで子育てしようと決めました」
縁もゆかりもない地での再出発。裏山に茂る竹を焼いて、竹炭を作る職人になった。屋号は、2人が生き方に感銘した、アラスカの写真家星野道夫さんの著書『旅をする木』からいただいた。田畑を借りて、米や野菜の収穫を始めるも、村の人たちが1から教えてくれた。「最初は水道もお風呂もなく、柄杓で湧き水を汲んで生活していたんですけど、村の人たちがそれじゃかわいそうだとスコップで井戸を掘ってくれました。蛇口をひねると、ゴボッ、ゴボッという音がして、しばらくすると水がワーッとあふれ出てきたんです。本当にうれしくて、二人で手を合わせて感謝しました」
いかに便利でおしゃれであるかを競う時代、『蛇口をひねると水が出る』という当たり前のことが、どんなにありがたいことなのかを教えられた。また、農家の庭先に置かれていた風呂釜を譲り受け、小野寺さんが5ヶ月かけて五右衛門風呂を作り上げる間、近所の人が毎晩お風呂を貸してれた。帰り道には決まって出てくる『あったかいねぇ』の言葉。村の人たちへの感謝の気持ちに包まれた。
「うちの珠の湯(五右衛門風呂)もなかなかですよ。素人が作ったんで、設計上のミスで煙がどんどん中に入ってくるんです(笑)。娘の珠希(たまき)と『煙たいね〜』と涙目になりながらも、しみじみ幸せだなぁって感じます」
庭の水たまりで泥だらけになりながら、元気に遊ぶ愛娘の珠希ちゃん(3つ)と安珠(あんじゅ)ちゃん(1つ)。この二人の誕生エピソードも小野寺家の大切な物語だ。「上の子の時は、助産院へ行く途中に陣痛が始まって、車の中で産まれたんです。焦る僕をよそに、妻はとても穏やかな顔をしてました。 生まれたての赤ん坊は、昔から『珠のような子』 という表現があるように、本当にピカピカ光っていたんです。赤ちゃんはみんなこうやって輝いて産まれてくるんだとすごく感動しました」
安珠ちゃんは、昨年の3月に自宅で誕生。小野寺さんが仕事で熊本へ出かけた晩、陣痛が始まり、助産師さんが家に着く前に産まれたという。近所の人も急いで駆けつけてくれ、小野寺さんが慌てて帰宅した時には、『おかえり。おめでとう』とみんなの笑顔で迎えられたのだとか。「その時の様子は、言葉では言い表せないくらい優しくて安らいだ雰囲気に包まれていました。家族が増えるってこんな感じなんだぁと。娘たちが大きくなったら、『こうやって産まれてきたんだよ』って教えてあげたいと思っています」
二人の夢は、村の人と都会の人たちが交流できるような里山をつくること。その第一歩として、6月からは自然卵養鶏を始め、安全で美味しい卵を生産していくそう。「秋の山へ入ると、落ち葉を踏みしめるあの『ムシャムシャ』 という感触と音に安らぎを感じます。そんな森の中を歩いて行くと、小さなゲストハウスがあり、自家栽培の素材で作った食事やお茶ができて、その先にはパン工房があって・・・というようなのんびり過ごせる里山をみんなで作っていきたいと思っています。人と人、人と自然を繋げていければいいですね」
シンプルに穏やかに、自分たちらしく生きる暮らしを求め、三瀬村へ移り住んで5年目。たくさんの人に支えられ、晴れて農業者となった小野寺さん夫婦。5月31日までは、村岡屋大和店で、『竹炭展』を開催しているので、ぜひ訪れてみて。
※「旅をする木」の竹炭は、ご連絡くだされば発送いたします。
(川副町の「三福のり」でも購入できます)
竹炭・養鶏 旅をする木
小野寺 睦・亜希
竹炭・養鶏 旅をする木
TEL.0952-56-2181
神崎郡三瀬村大字藤原1265
-------------------
小野寺睦さん・亜希からの紹介→次回は原健太郎さん・麻由子さん
脊振村在住で、オカリナとギターで音楽活動をされているご夫婦です。










